キシロカイン筋注用溶解液
添付文書
作成又は改訂年月
**2017年7月改訂(第11版)
*2015年1月改訂
日本標準商品分類番号
871214
日本標準商品分類番号等
再評価結果公表年月(最新)
1974年11月
薬効分類名
局所麻酔剤
承認等
販売名
キシロカイン0.5%筋注用溶解液
販売名コード
YJコード
1214401A2023
承認・許可番号
承認番号
16100AMZ01679000
欧文商標名
Xylocaine 0.5% for Intramuscular Injection
薬価基準収載年月
1956年9月
販売開始年月
1978年6月
使用期限等
貯 法:
室温保存
使用期限:
ケース等に表示(製造後3年)
注 意:
「取扱い上の注意」の項参照
規制区分
筋注用溶解液
劇薬、処方箋医薬品:
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
1mLあたりの成分含量
成分・含量(1mL中)
リドカイン塩酸塩 5mg
添加物(1mL中)
pH調整剤 適量
1管あたりの成分含量
1管3mL中 成分・含量
リドカイン塩酸塩 15mg
1管3mL中 添加物
pH調整剤 適量
性状
剤形
注射剤
色・形状
無色澄明の液
pH
5.0~7.0
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約0.1
一般的名称
日本薬局方 リドカイン注射液
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
抗生物質製剤の筋注時の疼痛緩和
用法・用量
抗生物質製剤を筋注する場合の疼痛緩和のための溶解液として用いる。リドカイン塩酸塩として、通常、成人10~15mg(2~3mL)を使用する。静注には使用しないこと。
使用上の注意
重要な基本的注意
1.
まれに
ショックあるいは中毒症状
を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに
救急処置
のとれるよう、常時準備をしておくこと。
2.
本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意すること。
(1)
患者の
全身状態の観察
を十分に行うこと。
(2)
できるだけ
必要最少量
にとどめること。
(3)
注射の速度はできるだけ
遅くする
こと。
(4)
注射針が、
血管
に入っていないことを確かめること。
(5)
血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、
吸収が速い
ので、できるだけ少量を投与すること。
相互作用
相互作用の概略
本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4で代謝される。
併用注意
(併用に注意すること)
1.
薬剤名等
クラスIII抗不整脈剤
アミオダロン等
臨床症状・措置方法
心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。
機序・危険因子
作用が増強することが考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
使用成績調査等の頻度が明確となる調査を実施していないため、副作用発現頻度については不明である。
重大な副作用
1.
ショック
:徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告があるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。
2.
振戦、痙攣
:振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)の投与等の適切な処置を行うこと。
3.
悪性高熱
:まれに原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱があらわれることがある。本剤を投与中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素による過換気、酸塩基平衡の是正等、適切な処置を行うこと。また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図ること。
その他の副作用
1.中枢神経
注1)
頻度不明
眠気、不安、興奮、霧視、眩暈等
2.消化器
注1)
頻度不明
悪心・嘔吐等
3.過敏症
頻度不明
蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等
注1) このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
適用上の注意
アンプルカット時
:ガラス微小片の混入を避けるため、エタノール綿等で清拭することが望ましい。
その他の注意
ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発するおそれがある。
薬物動態
1.
吸収及び血中動態
外国人患者にリドカイン塩酸塩200mgを筋肉内投与したとき、血漿中濃度は注入後15~30分で最高濃度(約2μg/mL)に達し、その後約2時間の半減期で減少した
1)
。
外国人患者にリドカイン塩酸塩200mgを
筋肉内注入後の血漿中濃度(平均値、n=30)
高齢者にリドカイン塩酸塩50mgを静脈内投与後の終末相半減期は140分を示し、若齢者の81分に比べて延長した
2)
。
2.
分布
3)
リドカイン2μg/mLの血漿蛋白結合率は約65%で、α
1
-酸性糖蛋白及びアルブミンと結合する。血液/血漿中濃度比は約0.8であることから、血球への分布は少ないと考えられる。妊婦にリドカイン塩酸塩を硬膜外投与したとき、臍帯静脈血中濃度と母体血漿中濃度の比は0.5~0.7で、胎盤を通過する。
3.
代謝
4)
リドカインは、主として肝臓でN-脱エチル体monoethyl glycinexylidide(MEGX)に代謝された後、glycinexylidide(GX)、2,6-xylidineに代謝され、約70%が4-hydroxy-2,6-xylidineとして尿中に排泄されると考えられている。
4.
排泄
4)
リドカイン塩酸塩250mgを外国人健康人に経口投与したとき、24時間後までの尿中放射能排泄率は投与量の83.8%、未変化体は投与量の2.8%であった。
5.
病態時における薬物動態
5)
外国人心不全患者及び腎不全患者にリドカイン塩酸塩50mgを静脈内投与後の消失半減期は、健康人に比べ有意な変動はなく、肝機能低下患者では約3倍に延長した。
薬効薬理
1.
作用機序
:リドカイン塩酸塩は、神経膜のナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し、知覚神経及び運動神経を遮断する局所麻酔薬である。
2.
麻酔効果
・
作用時間
:リドカイン塩酸塩の表面・浸潤・伝達麻酔効果は、プロカイン塩酸塩よりも強く、作用持続時間はプロカイン塩酸塩よりも長い
6),7),8),9),10),11)
。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
:リドカイン(Lidocaine)(JAN)(日局)
化学名
:2-Diethylamino-
N
-(2,6-dimethylphenyl)acetamide
構造式
:
分子式
:C
14
H
22
N
2
O
分子量
:234.34
融点
:66~69℃
性状
:リドカインは白色~微黄色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(95)に極めて溶けやすく、酢酸(100)又はジエチルエーテルに溶けやすく、水にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
取扱い上の注意
1.
本剤は金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい。なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗すること。
2.
本剤は防腐剤を含んでいないため、使用残液は廃棄すること。
包装
キシロカイン0.5%筋注用溶解液:
[アンプル]3mL×10管
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Ed. Scott, D.B. & Julian, D.G.:"Lidocaine in the treatment of ventricular arrhythmias" Livingstone Edinburgh, pp.153, 1971
2)
Nation, R.L., et al.:Br. J. Clin. Pharmacol., 4, 439, 1977
3)
Burm, A.G.L.:Clin. Pharmacokinet., 16, 283, 1989
4)
Keenaghan, J.B., et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther., 180, 454, 1972
5)
Thomson, P.D.:Ann. Intern. Med., 78, 499, 1973
6)
Wiedling, S.:Anaesthesist, 1, 119, 1952
7)
Wiedling, S.:Acta Pharmacol. Toxicol., 8, 117, 1952
8)
円谷福男:麻酔, 6, 357, 1957
9)
植木昭和 他:福岡医学雑誌, 51, 1361, 1960
10)
Krantz, J.C.:J. Pharmacol. Exp. Ther., 111, 224, 1954
11)
Truant, A.P.:Arch. Int. Pharmacodyn., 115, 483, 1958
**文献請求先・製品情報お問い合わせ先
アスペンジャパン株式会社
〒102-0073 東京都千代田区九段北一丁目8番10号
カスタマーセンター
TEL:0120-161-576
FAX:0120-788-654
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
**製造販売元
アスペンジャパン株式会社
東京都千代田区九段北一丁目8番10号
http://www.aspenpharma.co.jp/